近年、漁業現場では操業効率や漁獲量の増大だけでなく、環境への配慮が重要視されている。特に、流出した漁網が海洋中で分解されず、魚類やウミガメなどを長期間捕獲し続けるゴーストフィッシングは、世界的な課題として認識されている。
これらの課題を解決すべく、生分解性素材を用いた漁具(網、ロープ)が開発された。
今回はモズク養殖において、生分解性漁網が実用化された事例を紹介する。

モズク養殖は簡潔にまとめると下記のような工程で行われる。
①種の培養(陸上タンク)
②網への種付け
③海への設置(苗床/本張り)
④海中で育成・管理
⑤収穫 → 出荷
従来のモズク網は、非分解性化石燃料由来原料を使用していることが多いため
- 流出した際にほぼ分解されない
- 生産・廃棄段階で多くのCO₂を排出する
といった環境面での課題を抱えてきた。

植物由来原料を用いた、生分解性モズク網
こうした課題に対し、ニチモウ㈱はトウモロコシなどの植物由来原料を用いたバイオ・生分解性モズク網を開発した。(*原料となるトウモロコシは廃棄品などの非可食用途品)
この網は、問題なくモズクを養殖でき、万が一海洋中に流出した場合には、海底に沈んだ後、分解されることが期待できる。
これにより
- ゴーストフィッシングのリスク低減
- 海洋環境・海洋生物の保全
といった効果が期待でき、環境配慮型の経営やSDGs(特に目標12.つくる責任、つかう責任・13.気候変動に具体的な対策を・14.海の豊かさを守ろう)への具体的な取り組みとして位置付けることができる。

初期成長が早い ― 現場で実感できるメリット
バイオ・生分解性モズク網は、環境面だけでなく、養殖現場における生産性向上にも寄与する可能性を秘めている。
従来のモズク網と比較して、
- モズクの初期段階の着生・生長が早い
- 立ち上がりが良く、生育のムラが出にくい
といった特長が確認されている。

価格については現在一般的に流通いている化学繊維の網地が長さ 約20m × 幅 約1.5mで約3,000円程度であるのに対し、今回試作したモズク網は少量試作であり、同規格で10,000円程度となっている。
持続可能な養殖業のために
海洋環境を守りつつ漁業を継続していく為には、資材に起因する環境負荷を低減しながら、漁業者にとって導入するメリットがある資材でなくてはならない。
生分解性モズク網は、単なる環境対応製品ではなく、これからの漁業を支える実用的な選択肢の1つである。
持続可能な漁業を次世代へつなぐための一歩として、本技術の普及が期待されている。

今回ご紹介したモズク網で生産されたもずくは『郵便局のネットショップ』にて『沖縄県産太もずく500gパック』として販売中。
もずくは、フコイダンなどの水溶性食物繊維を豊富に含む海藻で、
・食後血糖値の上昇を緩やかにする
・腸内環境を整える
・低カロリーで満足感がある
といった特長があり、健康を意識する方の毎日の食事に取り入れやすい食材であり知る人ぞ知るスーパーフード。
酢の物だけでなく、スープ、天ぷら、炒め物など幅広い料理に使えるのも魅力。
環境に配慮した網で育てられたもずくを、ぜひご家庭でも。
オンラインショップ:https://www.shop.post.japanpost.jp/shop/g/gCS9974910682/