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【操業のリアル】山口県まき網船①

山口県のまき網船団の概要

山口県には6隻の沿岸まき網があり、主に萩地区に多い。漁期は4~12月であり、1~3月は休漁期間となっている。浮子綱の長さは600mまでという山口県独自の規制もある。

山口県のまき網船団は資源保護の為、これらの規制に準じて操業を行っている。

また魚捕部の仕様が他の地区と異なり、落としを急にした三角魚捕を採用している

この地区の主要な漁獲対象魚種はアジ、サバであり、エサ類(イワシ類)の水揚げが少ないことが特徴だ。

山口県の船団で使用されている操作性・耐久性向上に繋がる「高強力ロープ」

こちらの船団では随所に、細くて強い最新鋭の高強力ロープが用いられている。

漁師が日々の操業をする中で、重いロープをたぐる作業はとりわけ体力を消耗しているに違いない。

ロープの耐久性・操作性向上の為、高強力ロープ「メガトンX及びウルトラインD-8」を使用している。

メガトンXは同じ太さのワイヤーと同程度の引っ張り強度を持っているにも関わらず、重量を約80%軽量化した。

これにより船員のキツイ作業が減った上に、ワイヤのようにケンが出ないためケガの心配が軽減されている。

上の画像は裏漕ぎ時の状況であり、裏漕ぎの又綱に高強力ロープメガトンXが用いられいている。

従来、裏漕ぎ又綱に用いられていた太いロープ(PEクロス50㎜)を約半分の太さであるメガトンX(28㎜)に変えることに不安があったという。

しかし実際に使ってみると取り回しが容易になり、細くて強いロープのメリットを実感している。

今後は現在又網の片方だけの使用にとどまっているメガトンXを、もう片方のワイヤ部にも採用するそうだ。

軽く、蒸れにくい最新型機能性スーツ「3KNOT」

続いては、本船団で採用されている快適な操業を支えるプロフェッショナルフィッシャーマンズウェア(最新のカッパ)「 3KNOT」を紹介しよう。

当船団の船員が愛用しているこちらは、漁業の3Kを変えるべく生み出された機能性ウェアだ。

こちらは完成までにたくさんのヒアリングが行われ、あらゆる漁師の声を反映して作られている。

中でもこちらの船団から一番評価されているのは、「服の軽さ」と「透湿性」だ。

3KNOTは汗をかいても生地が肌に張り付かず、夏でも快適な着心地を実現している。

これまで着用していた合羽よりも、はるかに蒸れが軽減されているという。

また、夜中に活動する漁師さんにとって大事な視認性もしっかりと担保している。

別の船に乗る船員を視認しやすくなり、従業員の安全性確保にも役立っているとのことだ。

そしてなにより、従来の水産用カッパとはひと味違ってかっこいいという声も多い。

さらに、漁師を越えて一般の人からも欲しいという意見があるほどだ。

快適な操業を実現する機能性だけではなく、見た目の部分も高く評価されている。

船室での過ごし方を劇的に変えた「船内Wi-Fi」

続いては、船室での生活を快適に、安全にしている取り組みを紹介しよう。

本船団では「船内Wi-Fi」を導入している。

これまで船室では通信環境が無かったため、休憩時間の娯楽といえば、食事をするか雑誌を読む程度の事しかなかった。

船室にWi-fiが導入されたことにより、船室でも快適なスマートフォンの使用ができるようになった。

船室でもLINEで友達や家族とやり取りや動画を見たりできるようになり、沖泊まりで帰港できない際でも充実した休憩時間を提供している。

また、これまでは通信環境を使用したいときは甲板まで上がる必要があった。

したがって時化の際はスマートフォンを使うだけで危険も伴っていたが、船室で通信できるようになったことで事故防止にも役立っている

また、Wi-Fiを使用するためのアンテナを可能な限り船体の高い位置に設置することにより、従来は電波受信が弱かった海域において、受信環境の改善もなされている。

さらなる進化を遂げる漁業界

今後はWi-Fiの通信環境をベースに、音声認識装置、落水検知装置、魚槽水温管理装置、漁獲記録・漁獲情報発信装置などの開発を進めている。

音声認識装置は人の声で油圧機器等の制御ができるようにする装置であり、開発が進めば少ない人数での操業に対応できる技術だ。

落水検知装置は、所有者の落水を検知し、ブリッジ及び漁協、救急関係各所へ通達する仕組みだ。

実用化できれば真っ暗な夜の操業でも、落水時の救出率が格段に向上することだろう。

魚槽水温管理は、魚槽水温を適正に管理する装置であり、漁獲物の鮮度をより高い状態で保つことができるようになる。

またその他にも漁獲記録・漁獲情報発信装置は、流通の効率化、スピードアップを目的とし、陸上の市場関係者、仲買等へ一早く漁獲情報を伝えるシステムを設計している。

ニチモウグループでは、これらの開発を進めるべく各方面との連携を進めているところだ。

快適な漁を実現するために

本船団では、使用する資材の改善だけでなく、船員の船室での過ごし方も含めた改善を行っていた。

人手不足が深刻な状況において、操業の省力化ももちろん大切だが、船室での過ごし方も船員確保といって観点から必要なことなのかもしれない。

(*本船団ではカッパの内側に膨張式救命胴衣を着用しております。)

 

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