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【検証】ロープの結び方による破断強力の変化

ロープの強力や伸びは結び方や加工で大きく変わってきます。

今回は結び方ごとの引張強力を実測したので、普段使用している結びを考えて是非とも参考にしてみてください。

目次

  1. 原糸からロープを作るには
  2. ロープの結び方と引張強力
  3. ロープ同士の連結方法と引張強力

原糸からロープを作るには

原糸1本

原糸とは、網やロープを構成する最も細い繊維です。

原糸を数本~数千本合わせることでロープになります。

原糸を数本を束ねたもの

当たり前ですが、原糸をただ束ねただけではロープとしては使えません。

ロープを作るにはこの原糸に撚りを入れ込む必要があります。

ロープの構造

例えば原糸Aをつかってロープにするときは、原糸数本を撚り合わせて「合糸」とし、合糸を数本撚り合わせて「ヤーン」にします。

ヤーンを数本~数十本撚り合わせることで「ストランド」となり、3つ打ちならストランド3本、8つ打ちならストランド8本を撚ってロープとなります。

このように、ロープは原糸を大量に束ねても使いやすくなるよう、数回の工程を経て生産されています。

3つ打ちロープ

この時の引張強力は「原糸の引張強力」×「原糸本数」ではありません。

それぞれの原糸を撚り合わせることで、原糸一本あたりの引張強力は下がっていきます。

私たちはこれを利用率と呼んでおり、この強力は素材や素材の特性によっても変わります。

ロープの結び方と強度

ロープ自体の強力は、原糸の直線強力を活かせるかどうかで変わってきます。

つまり、結び方でも強力が変わってくるということです。

そこで今回は、普段使われている結び方ごとに引張強力を計測しました。

試験方法

アイ加工の引張強力を100%として、伸びは26%。

試験データは北海道ニチモウ㈱製のスーパーエクセルロープ18φを使用し、両アイ加工をした時の破断強力を100%、伸びは初荷重(ロープをまっすぐにするために直径ごとに決まっている力のこと)を0%として計測しました。

※計測回数は1回ですので、ご参考までにご覧ください。

もやい結び

破断力68%、伸び20%

まずはロープの結び方の基本となる「もやい結び」です。

アイ加工時の引張強力と比べると破断強力は30%程度低下し、伸びも落ちています。

巻き結び(ウノコ、クラブヒッチ、クワノコ)

破断強力57%、伸び20%

結束によく用いられる巻き結び(ウノコ、クラブヒッチ、クワノコ)は、もやい結び以上に強度の低下が見られました。

大回し

破断強力70%、伸び24%

最後は、おもに方塊と連結する際に使われる「大回し」です。

今回試験した3つの結び方の中では最も破断強力が高い結果となりました。

ロープ同士の連結方法と破断強力

続いては、ロープとロープを連結した際の引張強度を紹介します。

強力の計測方法は上記と同じです。

ショートスプライス

破断強力91%、伸び35%

ロープ2本を差し込むショートスプライスは破断強力が最も高い結果となりました。

※ショートスプライスの加工方法は以下を参考にして下さい

3つ打ちロープのショートスプライスはこちら。

8つ打ちロープのショートスプライスはこちら。

テグス結び

破断強力54%、伸び65%

テグス同士の結束に用いられるテグス結びは、結束を作ることで破断強力が大きく低下していると考えられます。

シングルノット

破断強力53%、伸び60%

テグス結びと同様に結束ができるため、破断強力が大きく低下しています。

最後に

紹介した破断強力および伸びはあくまで実測値であり、各1回の測定結果ですので、参考としてください。

強力は素材や素材の特性、直径やロープの打ち方によっても異なります。

いずれにせよ、ロープは結ぶと破断強力が弱くなることを前提に、正しく加工し、適正なロープを選定してほしいと思います。

※本記事では北海道ニチモウ株式会社に多大なるご協力とご指導を頂きました。

この場を借りて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

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