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港で学び合う若手たち「漁業者×メーカー」による人材育成の現場とは

4月某日、高知県室戸市で大型定置網漁業を営む椎名大敷組合の若手社員向けに、漁具の勉強会を開催しました。

これは、椎名大敷組合長の橋本さんから「若手社員が増えたので漁具の基礎的な勉強会を開いてほしい」という依頼を受けて実現したものです。

さらに、西日本ニチモウの若手社員にとっても現場を学ぶ絶好の機会ととらえ、双方の人材育成を兼ねた取り組みとなりました。

椎名大敷組合は明治時代から室戸市椎名漁港で定置網漁を営んでおり、ニチモウとは長い付き合いがあります。

正確な時期は不明ですが、先輩社員からは「100年以上続く関係かもしれない」とも聞いています。

椎名漁港は室戸岬の少し北に位置する港です。

椎名大敷組合はこの場所で明治時代から100年以上定置網を営んでいます。

椎名大敷組合は日の出とともに操業を始めるため、季節によって始業時間が変わります。

この日は朝持ち操業(午前中に漁を行う形態)を行うため、夜明け前から準備が始まりました。

三隻がそれぞれの役割で氷の積み込みや道具の準備を行い、準備後は各漁場へ出港。

漁場に到着すると、三隻がそれぞれの位置につき、網を手繰りながら魚を追い込みます。

三隻で役割を分担することで、大きな漁場でも効率的に操業が可能になります。

網を手繰り、魚を囲い込む三隻。息の合った連携が求められます。

魚を漁獲用の網に追い込み、船に固定して引き揚げます。

この日はメカジキ、アジ、ブリ、ウルメイワシ、サバ、スマガツオなどが獲れました。

水族館でも見かけるマンボウも水揚げされるも、今回は食用として扱われるそう。

椎名大敷では三漁場を保有しており、一番大きな漁場は三隻で操業を行いますが、他の漁場は一隻で操業を行います。

そのため一番大きな漁場の操業が終われば、それぞれ持ち場の漁場を操業するために移動します。

水揚げ・選別

操業を終えた船は港へ戻ります。

三隻操業の漁場では漁獲量が多いため、魚を積んだ船はすぐに港で水揚げ作業に入ります。

選別機を使い魚を種類ごとに分けながら効率的に水揚げ。

大型魚は選別台で手作業にて仕分けをしていきます。

朝ごはん

水揚げ後は、獲れたばかりの魚を調理して全員で朝食をとります。

さばきたての刺身や煮つけが並ぶ食卓。漁師とメーカー社員が同席する。

かつての漁村ではよく見られた風景ですが、今では貴重な習慣となりました。

コロナ禍で一時中断していましたが、現在は再開されています。

勉強会・技術交流

若手社員が講師役となりロープ加工を実演。双方で加工方法を共有。

通常なら朝食後は網仕事や昼の操業がありますが、この日は勉強会を実施しました。

まず簡単な講演で漁具の基礎知識を共有し、その後は実習としてクロスロープの端末加工や三つ打ロープ、ワイヤ入りロープの加工方法を扱いました。

懇親会

すべての実習を終えた後、椎名大敷組合の番屋で懇親会が開かれました。

仕事以外の話題も交えながら、世代や立場を超えて交流が広がりました。

最後に

今回の勉強会は、橋本組合長のご厚意により、西日本ニチモウ若手社員の現場実習と組み合わせて行うことができました。

漁具メーカーとして、自社製品がどのように使われているかを直接見ることは、今後の製品づくりに確実につながります。

限られた参加者ではありましたが、漁業者と共に歩む姿勢を忘れず、漁具を使う人の立場に立ったものづくりを続けていきたいと考えています。
この度の勉強会とこの記事掲載にご協力いただいた椎名大敷組合の橋本組合長ならびに乗組員の皆さまに、心より感謝申し上げます。

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