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【ロープ選定シリーズ】最適なロープ選定の方法と検討すべき項目を紹介

ロープには素材や太さなど多数の要因が関わっており、用途によって最適なロープを選ぶことが重要です。

最適なロープを使用することで、作業性の向上やロープの使用期間が延び、メンテナンス業務の効率化にも繋がります。

そこで今回は、ロープを選ぶ際に検討すべき10の項目をご紹介します。

最適なロープを選ぶ際の検討すべき項目

  1. 引張強力
  2. 比重・素材
  3. 伸び
  4. 太さ
  5. 耐摩耗性
  6. 撚り(硬さ)
  7. グリップ力
  8. 耐候性(耐光性)
  9. 費用対効果

1.引張強力


引張強力とは、ロープをゆっくり引張った時にどれだけ耐えられるかを示します。

通常kN(キロニュートン=約102kgf)やkgfと表記され、大きいほど強い力に耐えられる事を表します。

日本メーカーのカタログに表記されている引張強力は、破断時の荷重ではなく最低でもこれ以上の引張強力がある事を表しています。

2.比重・素材


比重とは、水の密度(単位体積当たり質量)を1とした場合、ある素材の密度との比です。

ロープを海水で使用する場合、海水の比重(通常1.02程度)よりも大きいと沈み、小さいと浮きます。

下記に参考として主にロープに使用される素材の比重を表にしました。

素材 比重
ポリプロピレン 0.90
ポリエチレン 0.95
イザナス®(旧ダイニーマ®) 0.97
ナイロン 1.14
ビニロン(クレモナ®) 1.30
テトロン® 1.38

表-1 各素材の比重

※数値は参考値です。同じ素材でも異なる場合があります。鉛を入れたり、さまざまな素材を組み合わせる事で、ロープとしての比重は調整できます。

3.伸び

伸びとは、ロープを引張って破断するまでにどれだけ伸びるかを示します。

元のロープの長さに対し、破断時のロープの長さと比較して%で表示します。

伸び(伸度)50%であれば切れるまでに1.5倍の長さになります。

4.太さ

続いては、ロープの太さによる使い分けについてご紹介します。

細いほど操作性がよくなりますが、もちろん強度は落ちます。太いとその逆の特徴となります。

ロープの太さは、3つ打ちでは断面の直径、8つ打ちは周長から算出した直径を示すことが多いです。

3つ打ちロープは断面の直径を測定します。

黄色で囲ったのはストランドと呼ばれる繊維の束です。3本で3つ打ちとなります。

8つ打ちなどのクロスロープは、周長を測定して直径を算出します。

8つ打ちという名の通り、8本のストランドから構成されています。

またあまり知られていませんが、WR(ワイヤーロープ)と同分径で同等の引張強力をもつロープもあります。

5.耐摩耗性

耐摩耗性とは、ロープがもつ擦れへの耐久性のことを示します。

耐摩耗性を数字で表現することは難しいため、〇、✖などで比較されています。

ロープが海底や船体などと接触する場合、耐摩耗性の高いロープを使用する事で引張強力の低下が少なく、長期間使用できるようになります

6.撚り(硬さ)

撚りとは繊維を撚り合わせる事です。

撚りを多く入れるほどロープを曲げる時に必要な力が大きく(しなりが硬く)なり、少ないと小さく(しなりが柔らかく)なります。上の画像内の2本のロープを見ると、同素材でしなりが異なる事が分かります。

ロープは撚り方によって下のように種類が分けられます。

3つ打ちロープ

3つ打ちロープ

最も一般的なロープの撚り方です。

力が掛かると解撚しようとします。

8つ打ちロープ

8つ打ちロープ

クロスロープとも言われます。

左右4本づつのストランドに撚りが掛かっているため、力が掛かった際でも解撚しずらい特徴があります。(打ち消しあう)

断面は4角に近いです。

12打ちロープ

12打ちロープ

8つ打ちよりも構成本数が多く、断面が丸に近いです。8つ打ち同様に解撚しずらい事が特徴となります。

断面が丸に近く、片ズレしにくい事も特徴として挙げられます。

8つ打ちロープ断面 少し扁平しています

12打ちロープ断面 8つ打ちよりも丸に近い事が分かります

他にも4つ打ち、6つ打ち、ワイヤーを使用したCBRなどありますが、詳しくは別記事とします。

一般的には硬くなるほど耐摩耗性が向上し、柔らかいほど加工がし易くなります。

使用用途に合わせて、撚りを調整(基本だけで10パターン)できます。

7.グリップ力(摩擦力)


グリップ力とはロープ表面の摩擦力のことを示します。

繊維の形状による影響が大きく、クレモナ®などのスパン糸がグリップ力が高いとされています。

グリップ力が高いと手やローラーにも滑りにくくなりますが、同時に擦れに弱いという欠点もあります。

8.耐候性(耐光性)

耐候性とは屋外環境での劣化への耐性です。

繊維を屋外で使用している以上、雨、風、気温、太陽光などの影響を受けてしまい、劣化は免れません。

劣化の原因は様々な要因がありますが、ロープで最も影響を受ける要因は紫外線と言われています。

紫外線等の光に特化した耐性として「耐光性」との表現もあります。

紫外線の影響で劣化すると引張強力と伸度が低下します。

9.色


ロープの色により、視認性や耐光性が変わります。

工事現場で見かけるトラロープは色のコントラストで視認性をあげています。

黒いロープは耐光性が高く、暖色系(黄、赤、オレンジ等)は弱く、すぐに色が抜けてしまいます。

使用箇所毎に色を変える事で、長いロープの取り込み状況を把握したりします(色分けの便利な使い方)。

10.費用対効果

長期間の使用実績があるロープ

高強力繊維を使用したロープは、重量当たりの金額で比較すると他の汎用繊維よりもとても高いと感じるでしょう。

しかし高価な繊維は従来品と引張強力を合わせると細くできるため取り扱いが楽になったり、人手が減る事で省力化ができるといった付加価値があります。

また長い年数使用できる場合もあり、その結果トータルで比較するとコストパフォーマンスがいい場合もあります。

最適なロープ選定は楽しい

ロープの選定は同じ漁法でも地域差、個人差、装備の違いがあるため、とても難しいと思います。

本記事を参考に選んでいただくいくことで、用途ごとに最適なロープを見つけるためのヒントになれば幸いです。

我々も漁具メーカーとして、今後も漁業者の皆様と共に考えていきたいと思っています。

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今後はロープ選定シリーズとして、各項目の詳細記事を準備しております。

漁業者の方からの「このロープでないと駄目」という声を聴くためにも詳しい内容を項目ごとに書いていきますので、上のLINEアカウントからご意見やご要望もいただければ嬉しいです。

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