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【ロープ選定シリーズ】 比重の違いについて

早速ですが、「比重」とは何を意味しているかわかりますでしょうか?

日常生活で耳にする機会は少ないですが、漁業に関わる方々は、数字が大きいとよく沈み、小さいと浮くという認識はあるでしょう。

今回はロープ選定シリーズとして、比重について詳しく解説していきます。

目次

  1. 比重とは
  2. ロープの比重について
  3. 比重をコントロールする方法
  4. 比重は重要な数値

比重とは

比重とは呼んで字のごとく「重さを比べた」数字です。

単位は数値で、密度1の真水と比較した値で表されます。

なお、海水の比重は塩分などにより1.02~1.04程度となります。

比重が異なることで起こる現象

比重が異なることで起こる現象とは、ある液体に対し、投入する物体または液体の比重が小さければ浮き、大きければ沈むということです。

当たり前の認識と思いますが、浮子(中に封入されている空気も含めて)は浮きます。鉛は沈みます。

比重が水よりも小さい素材は何百キロ集めても浮き、大きい素材は1キロでも沈みます。

また物体だけではなく、水と油という液体同士でも同じことがおきます。

「水と油」は混ざり合わない様を例えていわれる言葉ですが、言葉どおりいくら混ぜても水の上に油が浮いてしまいます。

これは油の比重が約0.8と水よりも軽いために起こる現象です。

ちなみに少し前に流行したタピオカ(キャッサバという芋類から生成されたでんぷんを球状に加工したモチモチ触感の食べもの)は沈んでいたと思いますが、これはタピオカの比重が約1.3と水よりも重いためです。

ロープの比重について

ここからは水や海水に対してロープの比重が異なることで、何が変わるのかを解説します。

一般的なロープの素材であるポリエチレン(以下PE)は比重0.95です。

では、このPEロープを海水にいれるとどうなるのでしょうか?

正解は比重が海水>PEなので、PEロープが浮きます。

※水は真水を使用

ちなみに下に沈んでいるのはクレポリロープです。

クレポリロープの比重は1.07のため水に沈んでいます。

浮くロープ(低比重)と沈むロープ(高比重)を改めて図にしました。

上の図のように横から見ると、水中での軌道が大きく違うことが分かります。

浮くロープは海底につかないため擦れることは少ないですが、海面に浮いている部分は他船のペラで巻いてしまう可能性があります。

逆に沈むロープはペラに巻くことは少ないですが、海底に擦れることが多くなります。

また、比重が変わることで水中の重量も変わってきます。

ナイロン(比重1.14)とテトロン(比重1.38)のロープで、沈降速度を比較(直径40mmの場合)すると、テトロンが約1.6倍速く沈降します。

ナイロンとテトロンの2種類の網やロープそれぞれ100㎏の水中重量を計算すると、ナイロンは10.5㎏、テトロンは26.1㎏となります。

このように、0.24の比重の違いで水中重量は2倍以上異なります。

比重が小さければ、同じ太さで比較すると軽くなるので作業者の負担は軽減されます。

水中での沈下速度を気にしない箇所であれば、比重が小さいこともメリットとなります。

比重をコントロールする方法

クレモナ(左)とポリエチレン(右)

比重は素材によって異なりますが、素材を組み合わせることで、全体の比重をコントロールできます。

以下に、一般的なロープの比重を紹介します。

素材 比重
ポリプロピレン 0.9
ポリエチレン 0.95
イザナス®(旧ダイニーマ) 0.97
ナイロン 1.14
クレモナ® 1.3
テトロン 1.38

※数値は参考値です。同じ素材でも異なる場合があります。

この表は単一素材のみですが、組み合わせ次第で任意の比重を作ることが可能です。

特に底曳き漁業などではロープの比重がとても重要であり、比重を指定した発注をいただくこともたびたびあります。

少し黒みがかったポリエチレンと白いクレモナの混紡

例えばクレポリロープではPE(比重0.95)とクレモナ(比重1.30)を混ぜており、比重は約1.07となります。

CBR ワイヤーが入っているため比重を重くすることができる。

そのほかにも繊維とワイヤなど金属を組み合わせて、比重をコントロールすることも可能です。

例えばタフライン(ポリピロピレン)CBRロープ35(14)mmではロープ直径は35mm、ロープの中心にワイヤーロープ14mmが入ります。

この時の比重は1.57程度です。

比重は重要な数値

比重は水中の形状保持において非常に重要な数値です。

わずかな比重の違いでも、水中では大きく状況が異なります。

今回は【ロープ選定シリーズ】ということで、ロープについての記事としましたが、比重については網にも共通している部分が多いです。

網もロープと同様に比重が大きいほど沈むのも早く、網の展開が早いといえます。

本記事を読んでいただけた方は、比重がどのようなもので、数値が異なることでどのような影響があるのかご理解いただけたでしょう。

我々も漁具メーカーとして、今後も漁業者の皆様と共に最適な道具を生み出していきたいと思います。

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