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養殖業界に訪れた転換期!コロナに立ち向かう取り組みとは

新型コロナウイルスによって、人々の生活様式が大きく変わっている2020年。

本来であれば東京オリンピックが開催され、観光産業や外食産業が盛に盛り上がり、養殖業界も乗っかるはずであったが、4月から状況は一変した。

コロナで変わった出荷体制

養殖業界も例外ではなく、新型コロナ感染拡大をきっかけに大きな転換期を迎えている。

マダイ養殖を採卵から手掛ける有限会社田脇水産を訪ね、コロナ禍において仕事がどのように変わったのか話を伺った。

活魚出荷から活〆(かつしめ)出荷へ

夜が明ける少し前に港へ到着、早くもフォークリフトを操ってダンベに氷を入るなど、活〆の準備をしていた。

田脇水産はマダイの活魚を出荷を主にしていたが、コロナ以降新たにマダイの活〆出荷を始めざるを得なくなったという

生け簀からマダイを救い上げ、マダイをカギで〆て、水氷に入れて脱血と冷却をする。

これまで田脇水産で行っていた出荷は、活魚のマダイをトラックに積み込むだけだった。

したがって、活〆専用の水揚げラインはできておらず、不慣れな様相を呈しながら作業が進んでいる。

新たな取組「マダイフレーク」

また田脇水産は活〆出荷だけではなく、ニチモウマリカルチャーとタッグを組んで「マダイフレークの製造」という新たな取り組みも始めている。

活〆したマダイを凍結し、新たなルートである海外の加工工場に向けて出荷するという。

この取り組みについて田脇水産の田脇社長と、ニチモウマリカルチャーのN氏に詳しく話を伺った。

社長: コロナの感染拡大で2020年3月からマダイの活魚の出荷が激減し、2020年4月は例年の1/3まで落ち込みました。現在(2020年10月)は80%程まで回復しましたが、ほとんどが新規に開拓したルートです。

N氏: その影響を受けて我々も新しい取り組みを開始しました。マダイを活〆して凍結、海外の加工工場に送り、マダイフレークを作ることです。

社長: コロナ以降に発生した様々な規制で、本来は活魚として出荷しているはずのマダイが出荷できませんでした。予定より長く養殖して、餌のコストがかかり、さらに給餌制限によって成長にばらつきがでて困っていました。

N氏: 制限給餌を実施したマダイは大きさが揃わないので、通常は出荷しにくいです。しかし、マダイフレーク加工向けなら1㎏以上であれば扱うことができます。この状況でも新しいことに挑戦し、出荷先を創出していくことが大切だと思っています

社長: 今回のマリカルチャーの取り組みには感謝しています。正直、儲けはほとんどないけど…(笑)。

N氏: 今は色々な事にチャレンジできる環境が楽しいです。(※N氏は4年目の1994年産まれ、実家は四国で養殖業を営む。)

漁業者と一丸となる「ニチモウグループ」

ニチモウマリカルチャーの仕事は主に餌や稚魚の販売だが、ただ売るだけではない。

成魚の購入や目利きを担当したり、常日頃から現場へおもむき、作業の手伝いをすることもある

まだ慣れない活〆出荷なのでニチモウマリカルチャーの社員も出荷作業を手伝っているとのことで、今回は取材をさせてもらった。

作業全体を見渡しても、田脇水産とニチモウマリカルチャーの社員の区別はよくわからない。

マダイを養殖する田脇水産社員も、餌を供給するニチモウマリカルチャー社員も入り混じって作業を進めている。作業から会話まですべてが自然体だった。

このようにニチモウグループでは企業と顧客の垣根を超え、養殖業界に訪れた窮地に一丸となって立ち向かっている。

省人省力化に向けた取り組み

後日、自動活〆機を持ち込み、活〆作業の省人化にチャレンジした。

配管やベニヤ板を使った応急処置の出荷ラインであるが、やれることは何でもやってみる。

また後日紹介したいが、タモにつけて魚を鎮静化せている電気タモもニチモウグループが開発した製品だ。

日本の養殖魚の品質レベルは非常に高く、世界から認められている。近年ではさまざまな加工・養殖の技術も確実に上がり、業界は激しく動いている。

コロナ感染拡大は、私たちの世代で見過ごせたかもしれない省人省力化や販売方法の見直しなどの諸問題をつきつけてきた。

養殖業における新しい様式はまだ試行錯誤段階ではあるが、これを契機と捉え、水産に係るみんなで立ち向かっていきたい。

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