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TSSS(東京サステナブルシーフード・サミット)に参加して

最近ではSDGsや持続可能性という言葉を耳にするようになり、環境配慮を訴求するマークや企業の環境・社会活動を目にする機会が増えてきた。

しかし我々の行動は変わってない部分が多く、まだ実感がないのが正直なところだ。

いつかは変わるだろうと思っていた筆者であったが、今回TSSS(主催:㈱シーフードレガシー、日経ESG)に参加し、その考えは一変した。

今回の記事では、筆者の考えに影響を与えたTSSSの内容とともに、持続可能性について考えることの重要性をお伝えしたい。

目次

はじめに

生分解性の牡蠣パイプ

私たちの仕事は海に関する仕事であり、具体的には漁具のメーカーだ。

正直、その活動は将来に必要だろうと感じており、私たちはやっている方と思っていた。

実際に生分解やリサイクルペレットの活動は会社で取り組んでいる。

海ペディアのアンダーラインもSDGsを意識している。

将来は絶対に持続可能な社会にしないといけないというが、それがどの程度なのか。

本当にそんな社会が実現できるのか、懐疑的であったことも本音である。

おそらく多くの日本人がそう考えているだろう。

筆者もその中の一人であり、「現在の生活を激変させてはいないが、一般の人より取り組んでいる方。」と勝手に思っていた。

しかし講演を聞き終えてからは、筆者自身の基準の曖昧さを痛感した。

どの分野においても、「知っているつもり」が最も厄介である。

TSSS(東京サステナブルシーフード・サミット)について

TSSS(東京サステナブルシーフード・サミット)は、2021101113日にオンラインにて開催された世界各国の要人による首脳会議だ。

花岡社長の開会挨拶では「やれることから実施しているのでは、社会は変わらない。コミットをもって実施していかなければ」という力強い言葉があった。変化する必要性をヒシヒシと感じた。

最初の講演は、国際連合の事務総長海洋特使だ。

「これは人類への最終警報。健全な海なしで、健全な地球なし。海の衰退を止めることがこの世代の仕事」。

海に関わるものとして、大事な指針を得た気がした。

続いての水産庁長官の講演は、いい意味で予想を裏切られた。

これまでの事例を失敗としたうえで、これからの覚悟を数字でも示されていた。

「厳しく管理すると業界が悪くなると思っていた。今回の改革は、水産庁にとても大きく変わる姿勢を示している」と。

その後はにもデジタル庁の講演もあり、DXの必要性を教えてくれた。

今後は流通や漁船の監視など、DXが必須になることが理解できた。

※DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)とは、IT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものに変えること

2日目の講演

ウォルトンファミリー財団  環境部門 シニア・プログラムオフィサー テレサ・イッシュ氏 事務所の雰囲気からして違う。

2日目は金融の話だった。

大手銀行の登場はもちろん、サスティナビリティ・リンク・ローンを受けた世界トップの水産加工業者も一緒に登場する。

非常に簡単にまとめると、「投資者も会社の持続性を求めている。会社も(海洋)資源がなければ持続性を確保できない。よって、会社も社会(お金)も健全な環境に成り立っている」ということだ。

3日目の講演

3日目は営業で関係する企業の方も登場していた。

これまでの資源、投資、DXのそれぞれの話が現場にてつながった印象を受けた。

普段、絶対に話を聞くことがない方々の話を聞ける環境に驚いた。コロナ禍のためアメリカやヨーロッパからリモートで参加されていたので、これが世界の問題であることを改めて感じた。サラリーマンの私も、リモートでかつ、アーカイブで聴収できるので無理なく聞くことができた。

講演全体を通じて

事前にプログラムを見て、難しい話になるとは思っていたが、全体を通して、話が一貫していたので、内容は頭に入ってきた。

一貫していることは、「具体的な数字をもって、将来はこうならなければならない」と示していたことである。

これらの話はオンラインなので、世界の各方面のトップの話を、自宅や会社などどこでも、リアルタイムでもオンデマンドでも簡単に聞ける。

次世代(子供たち)のために真剣に考えること

現代の世代でも、手つかずの自然で遊べる機会は少なくなっている。

本公演を通じて最もショックを受けたことは、「世代間の格差が広がっている」という事実である。

私たちの世代とその前の世代は、経済を軸として地球の資源を利用し続けており、将来に残すという考えは少なかった。

将来、子供から「なぜ親たち世代は私たちに何も残さなかったのか?」。

漁師であれば後継者から、「なぜ魚を残さなかったのか?」と言われるかもしれない。

その時に、「その当時、お金が必要だったから」「お前たちを食わせるためには選択肢がなかった」と回答するしかないのか。

資源もなく、地球環境も悪化している取り返しのつかない世界になっていたら、そんな言い訳では許してもらえないだろう。

資源が枯渇し地球環境が悪化した世界で、お金にどれだけの価値があるだろうか。

都会にも作られている干潟。生物多様性の重要性は昔から言われ続けている。

要は「近い将来、お金を基準にするのではなく、持続性を基準にする時代がくる」ということだ。

今後地球の環境が恐ろしく悪化し、住みにくい世界になっていたら、お金が必要だろうか?

今から将来を考えるのではなく、将来から今を考えると、必要なことが見えてくる気がした。

学ぶ機会の喪失とその危険性

私たちは普通の会社員、営業職である。社会人になってからは学ぶ機会は少ない。

学びとは、気づきの連続と、行動の変化だと筆者は考えている。

TSSSを通じて、学びは最も大切なことであると改めて気づかされた。このような大きな変化を、たった3日間で学べたことに心より感謝する

SDGs に関する意識は、若い世代を中心に大きく変化していると感じる。

近い将来、パラダイムシフトは必ず起こるとだろう。

その時に、どこまで準備をしておけるか、準備に専念できるかで、個人も会社も大きく将来は変わりそうだ。

最後に

水産業を持続させるため、社会の水産物の価値を変えるため、進むべき道を常に学ばなければならない。

TSSSは一年に一度開催されるので、2030年までには8回も開催されるはずだ。

ただサミットに参加することが大切ではなく、参加し、学び、行動を変えることが必要である。

TSSSはそんな行動の変化を起こす力がある。実際に筆者は影響を受けた。

将来に必要なことが自分の中でも変わったことは何よりである。

まだまだ書きたいことはあるが、長くなるのでここでやめておく。

次回開催のTSSSには、ぜひ我々の水産関連業者だけでなく、漁業生産者、流通業者、子供たちを指導する教育関係者にも参加していただきたい。

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