島根県には全部で7隻のバイかご漁業船があります。
石見地区に3隻、隠岐の島地区に4隻ありますが、この7隻のうち6隻は他の漁業との兼業で操業しています。
今回は島根県で唯一バイかご漁業を専業で操業されている、隠岐の島の福祐丸様に乗船させていただきました。
バイかご漁の操業方法
バイかご漁の操業は、夕方に出漁します。
まずは前操業に仕掛けていた漁具の位置まで移動し、目印となるタルを回収してかごを巻き上げます。
かごは1連180ヶとなっており、8連が漁場に仕掛けられています。
かごを巻き上げたあとは、選別台に漁獲物を出し、籠にエサ(冷凍サバ)を取り付け、舷側に積み上げていきます。
同時に選別台に出された漁獲物は大きさ別に分け、活魚水槽にて保管します。
全ての籠を巻き上げた後、再度籠を投入していきます。
この作業を最大8回繰り返します。
隠岐の島のバイかご漁では、1日の水揚げ箱数を自主規制しています。
限度数まで白バイ(エッチュウバイ)が漁獲された場合、その日の操業はそこで終了。
例えば3連目で限度数を漁獲できた場合、その時点で操業を切り上げ、残りの5連分は次の操業時に回収となります。
福祐丸の操業の特徴
福祐丸さんの特徴は大きく2点あります。
まずは漁獲において厳格な自主規制を行っているという点です。
前述の通り隠岐の島では4隻がバイかご漁を行っていますが、4隻すべてが操業を行っている場合は、水揚げ量を200箱/日に設定し、週2回の水揚げのみとなっています。
また小型の白バイの漁獲圧を下げるために、籠に使用する網の目合も調節しています。
もともと10節を使用していましたが、現在は7節の目合で操業しています。
氷を積まずに操業
もうひとつの特徴は、氷を積まず操業を行っていることです。
漁獲物は鮮度の高い状態を保つため、沖で氷締めをせずに全て活かしで持ち帰ります。
活魚槽は、冷海水が入っており、温度調整をブリッチで行っております。
そのため、白バイの生息している水温に合わせて調整しており、活きの良い白バイを持って帰ることができます。
また、活魚槽で活かすことにより白バイが泥を吐き、臭みの少ない白バイが水揚げされます。
このような取り組みによって福祐丸様の白バイはブランド化され、市場では高値で取引されています。
たとえ真夏の操業であっても、氷はセリに出す直前の箱詰めまで一度も使用しません。
「氷を積まない漁船」というのはあまり聞かないですが、鮮度管理への強いこだわりが高い価値を生み出しています。
最後に
現在数多くの魚種がTACに定められている中で、福祐丸様のような取り組みは非常に効果的であると感じます。
今回のように水揚げ数量を限定して価値を高める取り組みは、他の漁法でも実践されていくことを願うばかりです。
ほか気になる点等ございましたら、コメントいただけましたら幸いです。
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