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【操業のリアル】福岡県まき網漁業

福岡県にて操業する中型まき網船団、蛭子丸水産に往訪した。

同船団をはじめ福岡地区では、他の地域とは異なる独特の操業方法で省人省力化を図っているという。

今回は同船団の取り組みについて紹介する。

目次

  1. 蛭子丸水産について
  2. 他の地域とは異なる操業方法
  3. 積極的に導入されている省力漁具
  4. 最後に

蛭子丸水産について

メンテナンス時に網を広げた様子

蛭子丸水産は、福岡県宗像市を拠点とする、15tの中型まき網船団だ。

操業水深はおおよそ50~120m、網規模は長さ440K、深さ140K程度となっている。

漁期は4~12月となっており、1~3月は資源保護のための休漁期間としている。

この間はまき網の運搬船を改造し、フグはえ縄漁を実施している。

船団構成は下記の通りだ。

  • 本船:14名
  • 活魚運搬船:2名
  • 運搬船:2名
  • 運搬船:2名
  • 灯船:2名
  • 探索船:2名
  • 合計:24名

全船団の本船をのぞく全隻に魚探・ソナーの画像共有システムISANAを搭載している。

また、まき網漁業と兼業でカキ養殖も行い、経営の安定化を図っている。

蛭子丸水産の牡蠣は宗像の道の駅にも出荷されており、身入りがよく大変美味だ。

他の地域とは異なる操業方法

実際のタル。フック、ロープに網漁具に繋がるロープが連結される。

蛭子丸水産をはじめ、福岡県のまき網はレッコ船を使用しない。

代わりにタル(現地ではタンポ)と呼ばれる大型の浮きを使用している。

タルを網漁具に繋がるロープに連結した状態

この浮きにはパースワイヤに繋がるロープ、浮子方・沈子方に繋がるロープが固縛されており、レッコ船としての役割を果たしている。

タルを使った操業の仕組み

タルと網漁具の取り付けイメージ図

上図のようにレッコ船を用いず、タル(浮き)を用いて投網を行う。

トモ(船の後方部)から落としたタルをオモテ(船の前方部)で回収する。

このようにレッコ船の役割をタルで代替できるようになり、レッコ船が不要となった。

タルを用いた投網の概要

投網時にタルを海上に投入し、船が旋回し、このタルを回収した後に環巻き、揚網を開始する。

タルを素早く回収できなければ網事故につながるため、回収作業は熟練の技が必要な重要事項となる。

したがって、この操業方法は福岡県以外ではなかなか普及していないのが現状だ。

タルに使用されているロープ

ワイヤの先手に用いられている高強力ロープメガトンX。

パースワイヤに繋がるロープは従来クレモナロープ32㎜であったが、メガトンX22㎜に代替することによりロープ重量が軽減しタルを回収する作業の省力化につながっている。

パースワイヤに繋がるロープにはメガトンX18㎜(高強力ロープ)、浮子綱、沈子綱に繋がるロープにはスーパートクラインロープ30㎜が使用されている。

積極的に導入されている省力漁具

魚捕に用いられているNUC網32本10節。破れが発生しても軽微な修繕で済んでいる。

同船団では長期的に使える網やロープを導入し、資材費の削減を実現している。

UC網

岩方大目に用いられているTUC網48本90㎜。 10年以上使用されている。

魚捕、岩方大目にUC網が使用されている。

魚を貯める部分である魚捕において走破を軽減できるUC網は重宝されている。

走破を軽減できるため網修理の省力化に繋がる。

高強力ロープを用いた浮子綱

浮子綱には高強力ロープ「ウルトラインD-8(イザナスクロスロープ)」を用いている。

こちらも10年以上の使用期間であり、ロープは繰り返し使用し浮子のみを入れ替えている。

メンテナンス終了時の網の積み込み。

メガネ網もPEUC網を用いており、10年以上の長期の使用においても網脚のねじれが発生していない。

通常のPE無結節網であれば組紐構造となっていないため、使用による負荷で網脚がねじれてしまう。

最後に

近年、持続可能な水産業を目指す動きが海外のみではなく国内でも活発になりつつある。

今後は漁獲量の規制、漁獲魚種の規制が更に厳しくなるだろう。

一時は厳しい経営状況となり、資源回復を図らざるを得ない時期がくるかもしれない。

そうなったときに資材費の削減は必須となるだろう。

そこで今回紹介したような、長持ちすることが見込まれる資材を長く使い続けることは資材費の削減につながる。

また、適材適所の資材を用いることは操業の効率化にもつながってくるだろう。

今の内から我々資材メーカーが出来る事を提案し、未来永劫続くまき網漁業を漁師さんと共に目指していきたい。

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