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【マリンテック】網職人が語る「網で紡ぐ幸せ」

魚を獲る網で、職人たちは幸せを紡いでいた。

広い場内では、29名の社員が、それぞれの工程を担当している。網の製造工程をざっくりいうと、糸を束ねボビンに巻き、ボビンを編網機にセットして網を作り、熱をかけて網の寸法を安定させる。今回は無結節網を製造する西日本ニチモウ㈱の小月工場の山中課長に話を伺った。

作る以外にもプロ意識を

最初に見たのは最終工程の整反作業だった。長い網を、同じ幅と形状に積み重ねている。「規格が同じ網は同じ形状で整反しないと、お客さんが違う網?と心配してしまうから整反も細心の注意を払っている」。同じ大きさに整えられた網が整然と並んでいる。「一つ一つの作業にプロ意識を持つように言っている。この作業も意外と難しいんだぞ。」と山中課長は言う。

 

世の中は自動化が進んでいるが、繊維など柔らかいものを扱うのは難しく、必ず人の技術が必要だ。この技術を持っている従業員が羨ましかった。

進化する技術と変わらない技術

最初の工程であるボビン巻は自動化が進んでいた。1m当たり30回前後の撚りを入れながら、ボビンに巻くのだが、ボビンの形状は先端が細く根元は太い。さらに糸が巻かれると太くなるので巻かれるスピードが変化する。「センサーによってスピードをコントロールしながら巻いているんだ」と説明を受けて改めて見ると、変化していることがやっとわかるくらい微妙な変化。

古い機械も隣で稼働しており、その違いを技術的に説明してもらったが、技術のことよりも、これでよりいい網ができるそのことが何より嬉しいのだろうな。と説明する表情から伝わってきた。

編網機の技術も進化していた。

デジタルにより制御の幅が広がったという。

制御するものはジャガードといわれるオルゴールの原理のようなもので、大玉・小玉がワイヤーを動かしている。まさにデジタルとアナログの融合だ。

デジタル制御によりこれまでできなかった網目の大きさを変えながら作ることもできるという。

でも、朝のボビン替え作業などは手作業だ。

動いているボビンの数は812本、ボビンセット時に素早く手で結ぶ糸は1本でも切れたら網は完成しない。

うねうね動くボビンは生き物に見えてくる。。。ボビンは4本1組で網脚を作り、交差部(網目になる部分)で横に移動する。その瞬間がわかりますか?

完成した網は人の「手」と「目」ですべてをチェックしている。正直、目も疲れるだろうし、1反150m以上の網を見るのは大変なことと思う。

それでも、機械では絶対できない作業だという。進化する機械の技術と人に伝わる変わらない技術が網にはあった。

 

何度も出てくる自慢話?苦労話?

申し訳ないのだが、ただの自慢話は面白くない。しかし、それぞれの工程に必ずでてくる山中課長の自慢話には苦労があった。「10回チャレンジし、1回成功すれば御の字」だそうで、どちらかというと苦労話。熱処理の工程で、ある条件の網が工程終了後も余熱で寸法が安定しなかったトラブルがあった。

 

苦労話は単純だ。水で冷却すればいいと思い付き、自分で熱処理工程に立って水をかけて冷却効果を確認、しかし出荷準備場所を水浸しにしてしまった。そこでエアーによる乾燥工程を追加した。今は自動化されているがその装置を一緒に作った北村さんにも話を伺うと、二人三脚で改善した工程が面白かった。まずはやってみる。だめならまた考えればいい。あちこちの製造工程で自慢できるストーリーがあり、その説明には〇度で○○分、〇%大きく作って〇%縮ませる。など常に数字があり、非常にわかりやすい。山中課長の頭には色々なことが無限に入っている。

集合写真を撮らせて頂いた。各持ち場で仕事をしているのに、スムーズに集まってくれる。もしかして、頭の中は繋がっている?

日々の仕事が勉強

山中課長の人間性も知りたくなり、インタビューをさせてもらった。好きな言葉は山本五十六の「やってみせ、言って聞かせ、させてみせ、なんちゃら。」前の部署で心から尊敬できるS先輩から背中と酒で教わったらしい。「こんな俺だが、先輩方と会社に育ててもらって本当に幸せ。」学生時代は結構な遠回りをされており、当時の見栄を張っていた自分に今なら気づけるようになった。網やロープを作る仕事を極めたいとの気持ちで、人生が変わったという。

技術交流のため、国内外に出張へ出かける。「夢は世界一の網職人になること。」この歳で夢を語れる職場がどれだけあろうか。

「扱っている編網機はデジタル制御もでてきているが、若手には音でわかるようになって欲しい。」人の感覚を大切にしているアナログ人間。でも、愛車のクーペタイプSUVはすべてデジタル制御でデザイン重視の車。あちこちの効率が悪いが、好きでたまらないようだ。

この柔軟な感覚が「日々の仕事が常に勉強」と思える所以だと思う。

 

網で紡ぐ幸せとは

ニチモウグループには漁具を製造してきた100年の歴史がある。それでも100年で初めて進んだ小さな技術進化もある。「若手へ技術を教え、アイデアを取り入れながら、常にパーフェクトを求める。」まだまだ進歩する可能性のある「網の世界」が見えている。

「御客様が求めるモノを考え、夜な夜な考える日もあるが、それを突き詰め開発できることが幸せ」

「製造の困難に対峙するとき、協力し慕ってくれる部下がいることが幸せ」

「営業担当者が網の使用状況を報告してくれて、結果が見えた時が幸せ」

「製造計画が予定通りに完工できることが幸せ(今年からは若手に計画を任せている)」

単純な構造の網ではあるが、製網課と山中課長にとってはたくさんの困難と幸せを紡いでくれる網であった。

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