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【操業のリアル】兵庫県の底びき網漁業

兵庫県の日本海側では、沖合底びき網漁船によるかけ廻し漁業が盛んであり、地域の基幹産業となっています。

今回はその中でも年間水揚げ金額の大部分を占めている、ズワイガニ漁に乗船してきました。

目次

兵庫県のかけ廻し漁業について

兵庫県の日本海側(以後、但馬地区)の沖合底びき網漁船(以後、沖底船)は、40隻の船が稼働しています(令和3年12月時点)。

主な漁獲物は、ズワイガニ・ホッコクアカエビ・ホタルイカ・カレイ類・ハタハタ等です。

使われる漁具

画面向かって左側がCBR、右側がCPR 。
CBRは、ロープの中心にWRが入っています。CPRは、ストランドの中心にWSが入っています。

曳綱は、主に CPR(コンパウンドロープ)及びCBR(コンビネーションロープ)を使用しています。

網漁具はズワイガニ以外の混獲が少なくなるよう、網型や網目合を考慮した設計になっています。

底びき漁業についての説明は、下記よりご覧ください。

【操業のリアル】島根県の底びき漁業

ズワイガニとは

西部日本海区で漁獲されるズワイガニ属は、「ズワイガニ」と「ベニズワイガニ」の2種類です。

主に沖底船で漁獲されるズワイガニは、地域、水揚げ港によって独自の呼称を用いて差別化をしています。

脱皮して1年以上経過したズワイガニであるカタガニとメスガニについての名称の一例は下記の通りです。

オス:松葉ガニ(山陰地方)・越前ガニ(福井県)・間人ガニ(京都府間人)、加能ガニ(石川県)等

メス:セコガニ(兵庫県)・コッペガニ(京都府)・オヤガニ(鳥取県)・コウバコガニ(石川県)等

また、脱皮して間もないオスのズワイガニのことを水ガニや若松葉等と称します。

ズワイガニ漁について

日本海のズワイガニ漁は、11月6日に一斉に開始されます。

筆者が乗船させていただいた順風丸様では、11月5日の夜10時過ぎに出港し、11月6日の0時の解禁とともに網入れが行われました。

綱は右舷出しの反時計回りで打ち廻しました。

打ち廻しには約15分程度要し、その後寄せ漕ぎを開始。

寄せ漕ぎは約1時間行い、揚網しました。

1回の操業で約1時間半を要します。

ズワイガニ漁解禁初日にいち早く出荷するため、この日は6回の操業で終了し、11月6日の午前11時頃に帰港しました。

通常、但馬地区の沖底船は、3~4日間程度沖泊りを行い、満船になり次第帰港します。

ただし、ズワイガニ漁解禁日は、初セリで相場が高いこともあり、日帰り操業する船もいます。

資源保護の取り組み

但馬地区では、資源保護のために国が定めた漁獲規制より厳しい数値で自主規制を行っています。

また、資源保護の取り組みは操業期間の取り決めだけではなく、保護区や禁漁区の設定等も行っています。

下表に2021年漁期の自主規制項目をまとめました。

オスのズワイガニ

自主規制 大臣許可
体長規制 10.5cm以上 9.0cm以上
漁獲期間 11/6~3/20 11/6-3/20
漁獲量制限 水ガニ※1は2月のみの水揚げで日帰り船300枚、1晩泊り船500枚、1航海船1000枚までの水揚げ 枚数制限なし

メスのズワイガニ

自主規制 大臣許可
体長規制 甲幅7.0cm以上 甲幅7.0cm以上
漁獲期間 11/6~12月末 11/6~1/20
漁獲量制限 水揚げ枚数の制限 日帰り操業:3500枚、1晩泊り船6000枚、1航海船12000枚
未成熟ガニ※2、アカコ※3、抱卵していない個体の水揚げ禁止
未成熟ガニの水揚げ禁止

※1水ガニ・・・脱皮して間もないオスのズワイガニを意味します

※2未成熟ガニ・・・マンジュウとも呼ばれ、最終脱皮していないメスガニを意味します

※3アカコ・・・初卵直後のメスガニであり、抱卵している卵が赤色(橙色)を意味します

活ガニの取り組み

ズワイガニの水揚げは、基本的に「活ガニ」で保管、出荷されます。

今航海、甲板上にある活魚水槽にオス、メスを規格に分けて保管していました。

水温管理システムの導入

ズワイガニを活かすには、水温および水質管理が非常に大事です。

同船の活魚槽には、水温管理ができるシステムが導入されています。

常に船長が気を配り、水温を一定に保ちながら操業しています。

この水温管理ができるシステムは、同船の船長が考られ、最初に始めた取り組みです。

揚網完了後、迅速に選別作業及び漁獲物の洗浄作業が行われます。

甲板上でオスのズワイガニは、まず規定の甲幅があるか確認を行います。

その後大まかなサイズ別に分け、ツメでカニ同士が傷まないように輪ゴムやチューブを付け固定します。

メスガニも同様、規定の甲幅があるか確認を行います。

上から順に「アカコ」、「寸法足らず」、「放卵個体」であり、すべてリリースします。

その後は腹側を確認し、未成熟ガニ、アカコ、放卵個体でないことを確認します。

条件をクリアしたあとは、甲板上に腹側を上に向け洗浄を行い、活魚槽へ入れます。

選別について

漁獲されたズワイガニは、まず船上で大きさ別の選別を行います。

その後陸揚げし、さらに細かく選別されます。

選別の項目は「重量」、「身入」、「脚の本数」、「色」、「キズ」等があります。

さまざまな組み合わせがあり、全部で100種類以上にも選別されます。

選別した後に、ある一定の規格を満たしたオスのズワイガニには、タグが取り付けられます。

タグには水揚げ地区と船名が明記されており、各地区で色分けを行っています。

最後に

今回の記事で掲載したように、松葉カニ(ズワイガニ)の水揚げには大変な労力が掛かっています。

また冬場の日本海は、よく時化るので危険と隣り合わせです。

カニが高値となるのには様々な要因がありますが、漁獲に関わる労力も要因のひとつです。

そして資源管理も自主規制をすることで漁獲圧を抑え、活魚で水揚げしたり選別を細かくすることで付加価値を付けています。

ズワイガニ漁は、今後持続可能な漁業が重要視される中で模範的な漁業ではないかと筆者は考えます。

読者である皆様にも、本記事を通じて少しでも持続可能な漁業への意識を持っていただけることを願っております。

そのような背景も想像しながら、高級なカニを楽しんでいただけると幸いです。

ちなみに筆者である私のおすすめは、刺身と焼きガニです。

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横田怜雅

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