今回は魚を電気で鎮静化させる「FreezFish」を導入している鹿児島のカンパチ養殖業者を訪問した。
そこで実際にFreezFishを使用した出荷作業に携わる従業員に話を聞くことができた。
目次
鎮静化による効果
当日は実際の作業見学こそできなかったが、出荷作業に携わっているK君が話しかけてくれた。
FreezFishの効果を聞くと、「僕はFreezFishを使った出荷しか知らないので、よくわかりません。ただ、使えなかったときの出荷は苦労しました。」と答えてくれた。
作業効率の向上
FreezFishの導入による一番のメリットは、何より労働負荷の低減が見込めることだ。
マダイの活〆作業においては、時間効率で40%アップすることが確認できている。
上の動画を見ていただくと、バットの上の魚が暴れずに落ち着いている様子がわかるだろう。
こちらの淡水のトラウト業者の出荷作業においては、FreezFishの導入によって作業時間が半分以下になり、もうこれまでのやり方には戻れないという。
身質の向上
FreezFishの導入により、作業効率の向上だけではなく身質の向上も見込める。
魚を鎮静化することで魚体温の体温上昇抑制、ATPの保持などがあるので、詳細はまた本品説明の時に紹介したい。
今後の展開
FreezFishのさらなる活用方法として、活〆作業のほかに選別作業や放流での展開を検討している。
これまでの活魚の選別作業は選別台で暴れるため大変苦労していたが、マット式を用いることで、選別をより正確にできるようになった。
さらに天然魚の選別や放流については、定置などでの活用を進める。
これまで漁船に取り込まれた魚は大小が混じるため、取り込み時には小型魚が大型魚の下敷きになっていることもあった。
その場合小魚はダメージを負っており、放流しても死んでしまう可能性が高かったと考えられる。
マット式を使用し、魚を一気におとなしくすることで、より早く、作業者に負担なく魚を選別し、放流できるのではないかと考えている。
今後はマット式だけではなく、タモ式でも鎮静化しながら、タモの中の魚の重量を計測できる装置の開発を進めていく。
これからの時代に大切なこと
これまで漁師との話では「昔は手で網を手繰ってたんぞ!」「昔は人力で運んでいたんだぞ」といった内容をよく耳にした。
これから漁師になる若者は、働き方、働く環境を選べる世代となる。
力自慢や個人の技術競争の時代は終わりつつあり、新しい時代が来ると感じた。
これからの時代には、働く環境を整えることが大切である。
今回話を聞かせていただいたK君は、両親に猛反対されて漁師になった。
両親からは「これからの時代はプログラムやデジタルだ」と言われていたそうだ。
確かに世の中の大きな成長産業はデジタル分野かもしれないが、K君にとってのこれからは「漁師」だった。
高校時代に、やっと了解されたインターンで今の会社で漁業体験をした。
今の専務から説明を受け、実際に作業を体験し、この会社への入社を決めたという。
「今の選択は間違っていなかった」と自信をもって答えていた。
会った日は専務と仕事の合間に、ハガツオ、マアジを釣って、楽しそうに捌いていた。これから両親に持って帰るという。
ご両親は、K君の帰りを大歓迎し、魚の土産を大変喜んでくれる!と笑って話してくれた。
子を持つ筆者としては、ご両親が本当に喜んでいるものは、楽しく、充実した社会人生活を送っている子供の成長した姿だろう。
私たち漁労機器メーカーも省人省力化の流れを止めることなく業界内でも推し進め、若手が喜んで入ってくるような業界になるよう努力しなければならない。
※K君のインタビュー詳細は以下に掲載されているので、ぜひご覧になっていただきたい。
採用情報 – 隆寶水産〈りゅうほうすいさん〉|鹿児島県垂水のカンパチ養殖業
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