救命胴衣を着ると、暑くて動きにくいので、着るのが面倒だと感じていないでしょうか?
ご存知と思いますが、2018年2月から救命胴衣の着用は全面義務化されており、さらに2022年2月からは今回の全面義務化に関する違反点数も課せられます(一部、例外を除く)。
そこで、今回は救命胴衣に関する知識や情報を紹介します。
救命胴衣は海に投げ出されたときに命を預けるものなので、きちんと性能も把握してその重要性をお伝えしたいと考えてます。
目次
着用義務化の内容と桜マークの条件
総トン数20t未満の小型船舶においては、原則甲板上のすべての乗船者に救命胴衣の着用が義務化されており、違反すると操縦者は罰せられます。
たとえ大型漁船でも、船外転落の防止処置の義務があるので、安全帯の装着でも対応できますが、実際には救命胴衣の着用が必要となります。
桜マーク認証
救命胴衣であれば何でも良いわけではなく、国に認証された性能を有する製品を着用する必要があります。通称「桜マーク」と言われるの認証を受けた救命胴衣です。
海外製などの桜マークが無い救命胴衣を着用していても、正確には「救命胴衣を着用している」とはみなされないので注意して下さい。
厳しい試験を通過した桜マーク
救命胴衣で最も浮力のあるタイプAの試験内容の一部を紹介します。まず紹介するのは、7.5㎏の鉄片を下げた状態で、24時間以上浮き続けられるかの浮力試験です。
ほかに、強度試験として、救命胴衣を浸漬させた後に横方向、縦方向にそれぞれ30分引張って耐えられるの確認もあります。
上記の項目だけでも厳しい試験ですが、さらに耐候性試験や締め金具の試験など細かい条件をクリアしなければなりません。
さらに、素早く着用できるかを確認する着用試験、落水時にズレ落ちないかを確認する飛び込み試験もあります。
膨脹式救命胴衣となるとさらに試験項目が増えます。ぜひ注目して頂きたいのは不注意膨脹試験です。
膨脹式救命胴衣は、ボンベ内に圧縮された空気が膨らみ浮力をえる仕組みです。その操作は浸水時に自動で作動する自動タイプもあります。その自動タイプが雨のように水を上、左右から一定時間噴霧をしても誤って作動しないかの試験です。
救命胴衣のタイプ
救命胴衣はA、D、F、Gの4つのタイプに分けられており、船舶の航行区域や構造などで、搭載・着用が決められています。例えば、タイプGは浮力を小さくした分、作業性はいいです。それぞれの漁船で、使用者が使いやすい条件をご検討ください。
時代を創った固型式救命胴衣
以上の通り、国土交通省には非常に厳しい認定基準がありますが、救命胴衣は命を守るためのモノであり、不備のある製品を世に出さないためにも必要な認証制度だと思います。
先ほどの浮力試験で記載したように桜マークを得るには、浮力7.5㎏という制限があり、実際の救命胴衣では結構な容積になります。それに伴い着用者の作業性は失われ、結局は着用してもらいにくい矛盾という矛盾があります。その課題に立ち向かった固型式救命胴衣が、日本船具㈱が製造する「ウクンダ」シリーズです。
浮力体が柔らかくなっているので、着心地はフワッフワのベストを着用している感覚です。
日本船具㈱の前社長である南部一彦さんは、工場のある北海道で漁師の意見を聞きまわり、空気を密封したチューブ状の浮力体を使用する救命胴衣を考案したそうです。
驚くことに1993年の販売当時は、ウクンダは新素材採用ということで国の認定は保留となりました。しかし、北海道漁連の方々は、「命を助ける良いものなら扱おう」とのことで採用し、使い勝手の良さからどんどん普及しました。実際にそのウクンダで命が助かった漁師もいます。その後、2002年に検定基準も見直され、ウクンダも桜マークの認定品となりました。
この救命胴衣の開発のきっかけは、海上保安関係者からの「実用的な救命胴衣を作って欲しい。」との意見からでした。
これまで固型式救命胴衣には、硬くて、動きにくい印象が強いでしょう。しかし、近年の固型式救命胴衣は浮力体を分割している工夫や、ウクンダのような気体密封式など作業性を考慮した胴衣も多くあります。救命胴衣は船に備えておくだけでなく、装着することを前提にした製品を選んでください。
進化した膨脹式救命胴衣
浮くためだけの救命胴衣は動きにくいだけではなく、暑い夏場はとくに大きなストレスになります。
そのようなストレスを軽減するべく、主に西日本地区で着用が進んでいる膨脹式救命胴衣があります。膨張式救命胴衣の浮力体は通常時は折りたたまれてコンパクトですが、ボンベから空気を浮力体に送り膨張させることで浮力を得る仕組みです。
これまで、誤作動でボンベの空気が無くなっていたり、きちんとボンベが装着されていないなどのトラブルがありました。それらのトラブルを解消し安全性と簡易性の両立という困難をクリアした胴衣がBJシリーズです。
最も進化した部分は、ボンベの制御部分です。
ボンベもカセット式になったことで、緩みにより作動用の針が届かないなど、従来のねじ込み式で起こりやすかったトラブル対策がされております。
また水を感知するインジケーターは作動によって色が変わる機能があり、未使用か使用済みかを色で判別できるようになりました。この色は救命胴衣の外側からも確認できるので、通常使用時でも不備に気づけます。
首掛けタイプと腰巻きタイプ
膨脹式救命胴衣は主にベルトタイプと、首掛けタイプがあります。
膨脹した時、首掛けタイプは水面で後頭部を支えるように呼吸を確保してくれますが、腰回りのバックルをしっかり閉めないと、すっぽ抜けることもあるので、きちんとした装着が必要です。
ベルトタイプは腰回りで膨張し、脇の下から体を支えるように体を浮かしてくれます。
注意が必要な点は、膨張後、膨らんだ部分の先端をバックルで連結することと、着用の際は天地を間違えずしっかりと装着し、バックルをきちんと締める事です。
膨脹式ではさらに手動タイプ、自動+手動タイプも選択する必要があります。手動タイプは水を感知して膨張する機能がないので、海に落ちても紐を引っ張らないと膨らみません。自動+手動タイプは海に落ちたら自動で膨張します。よって、雨などの浸水で膨張することを懸念し手動タイプを選ぶ方がいますが、一人乗りの方にはやはり自動膨張をおすすめします。
ただし、自動膨張式も落水時には可能な限り紐を引っ張って頂ください。定期的なメンテナンスを実施していれば10秒以内に自動膨脹しますが、整備不良の場合、自動膨脹するまでに長い時間がかかる場合があります。
救命胴衣で守れるモノ
当たり前ですが、救命胴衣は海に転落した時などに命を守ってくれるモノです。
こちらの動画では、救命胴衣を着ている場合と着ていない場合の比較試験となります。
救命胴衣を着ている場合、水面まで約4秒で勝手に浮上します。一方、救命胴衣を着ていない場合、自力で泳いで約8秒の時間を有しました。この比較は、あくまで落ちることがわかっている状態で実施してるので、はたして急な時、事故で負傷した時、このように冷静に浮上できるか想像してください。
また救命胴衣の役目は着用者の命を守るだけではありません。たとえ仏様になってしまったとしても、家族の元へ戻れる可能性を高めてくれます。
「仏さんが揚がらないと、家族が気の毒でたまらない。安全衣を着ていれば少なくとも遺体を収容できる。あのわびしさを二度と繰り返したくなかった。」海上保安庁の方の体験談ではこんな声があります。
必要なものとして着用してほしい
国土交通相のパンフレットによると、救命胴衣の着用で死亡率は半分にまで下がります。筆者自身、救命胴衣がなくても泳げるから大丈夫と思ってましたが、「落水するときは何らかのトラブルがあった時」と言われ、救命胴衣着用を考え直されました。もし、海に投げ出されたとき、「泳げる」だけでなく、どこまで「冷静」かも重要な条件だと思います。
大事なことは救命胴衣を義務で着るのではなく、必要なものとして着用する心構えを持つことだと強く感じています。
救命胴衣着用キャンペーン
本記事をきっかけに救命胴衣への関心を高めて頂けたでしょうか。
今回は海ペディアを見て頂いた方に、紹介した救命胴衣を直接お届けする企画を実施します。
記事作成にご指導を頂きました日本船具㈱、東洋物産㈱製の救命胴衣を特別価格でお届けします。
ウクンダA90
- 色:イエロー
- サイズ:フリー
- 仕様:気体密封式と発泡体とのハイブリッドタイプ
- 商品詳細(外部リンク):http://www.nihon-sengu.co.jp/product_04sagyou.html
BJ-270
- 色:オレンジ
- サイズ:フリー
- 仕様:腰巻き自動膨張式
- 商品詳細(外部リンク):http://www.toyo-bussan.co.jp/business/lifejacket/work.html
*なくなり次第終了となります。
購入方法
購入をご希望の方は、上記のQRコードまたは友だち追加ボタンより、「海ペディアLINE公式アカウント」にお友達ご登録をお願い致します。
ご登録いただきますとメッセージが届きますので、そちらに「ライフジャケット購入希望」の旨をご返信ください。
ご返信いただいた方に購入用特設ページのURLをお送りさせていただきます。
注意事項
- 西日本地区への限定販売となります。
- 海ペディア公式LINE(https://lin.ee/aDWmfOW)に登録された方限定となります。
- 公式ラインを通じてお問合せ頂ければ、特別価格をお知らせします。
- お支払いはオンライン決済(クレジットなど)のみとなること、ご了承ください。
この記事をきっかけに救命胴衣のこだわりを知って頂き、安全でかつ快適に作業できる方が少しでも増えればと願っております。