ロープにはざまざまな素材が使用されており、それぞれに特性があります。
今回はロープ選定シリーズとして、引張強力(引張強さ)に焦点を当てて解説します。
目次
そもそも引張強力とは
そもそも引張強力とは何を意味しているのでしょうか?
かんたんに説明すると、ロープを引っ張った際に破断せずに耐えられる最大の力の値を示しています。
ロープのカタログにおいては、「引張強さ」の値が引張強力を表しています。
破断強力との違い
日本の場合、カタログに記載された引張強力は「強度が保証された値」が設定されています。
すなわち、「この値を超える力がかかると破断する」(破断強力)という意味ではありません。
したがって、実際に破断してしまった際に掛かっていた力の値は、カタログの引張強度の値よりも高くなります。
また繊維の破断強力は、温度や湿度などの環境によって左右されることがあります。
例えばポリエチレンやポリプロピレンは、気温が高い環境だと破断強力が低下することがあります。
素材別の引張強力
ここでカタログの引張強力について説明します。
数字でかんたんに比較でき、ロープメーカーのカタログにも規格重量と同様に表がある場合がほとんどです。
素材名 | 引張強力
kN(kgf) |
重量
kg/200m |
1kg当たりの強力
kN(kgf)/kg |
ポリエチレン | 41.5 | 41.1 | 1.01 |
ポリプロピレン特殊モノ | 50.8 | 39.1 |
1.30 |
ナイロン | 73.7 | 48.9 | 1.51 |
テトロン | 56.8 | 61.7 | 0.92 |
クレモナ® | 37.6 | 49.0 | 0.77 |
イザナス® | 145.0 | 42.4 | 3.42 |
※弊社カタログ値での比較です。
※同直径なのに重量の差が大きいことは比重の項目で詳しく説明します。
上記は同直径(20mm)での素材別のカタログ値の比較をしています。
表中のクレモナ®37.6kN(kgf)とイザナス®145kN(kgf)では、同じ太さでも引張強力は何倍も異なります。
さらに重さ1kg当たりの引張強力を見てみると、より差が大きいことがわかります。
例えば引張強力が37.6kN(kgf)の「クレモナロープ20mm」の重量は、200mあたり49kgです。
イザナスではクレモナと同強力が必要な場合、太さは半分の10mmで重量は10.6kgとなり、体積は約1/4となります。
このように、ロープの用途ごとに必要な強力がわかっていたら、より軽くて扱いやすいロープを選定できるということです。
また、用途によっては強力だけで置換するのではなく、伸びの記事でご紹介したエネルギーについても考えるとより最適な選定ができます。
高強力繊維であるイザナス®の使用事例
ここでは高強力繊維であるイザナス®の使用事例をご紹介します。
イザナス®は強力が高く、ワイヤーロープの代わりとして導入されることがあります。
鉄でできたワイヤロープの代わりに、高強力の繊維を導入することで以下のようなメリットがあります。
- グリスが付かない
- 素線切れによるけがの心配がない
- 軽く、扱いやすくなる
これはまき網の裏漕ぎ又綱に使用されている事例です。
上記のメリットの他に、船体に当たっても船に傷がつかない、大きな音が鳴らないため魚が逃げないということが挙げられます。
引張強力だけでは選べない
ロープの強力はカタログにも数値の記載があるため、かんたんに比較できます。
数値の意味を理解することで、重要な選定基準となりますが、今回の使用実績のように強力以外の項目も選定基準となります。
使用用途を考えて検討することで、現行品より満足できるロープに出会えることでしょう。
今回の記事で読者の皆様に「昔から使っているから同じ商品でいい」という考えを見直していただき、使用用途にあったロープを今一度ご検討ください。
引張強力はロープにとって大事な要素です。この記事で引張強力について理解していただき、強力を軸に他の項目を検討いただければと思います。
ロープを選定中でしたら、公式ラインからお気軽にご相談ください。